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NO.10 05.19
荻上チキ氏 (評論家/「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長)

■なにかしらの政治参加をしないと駄目だ、という危機感をもってほしい

まず前提として、選挙や政治に参加「しない」ということは、それは要するに「損をしてもしょうがなくなる」ということです。なにかしらの政治参加を一切せず、それでいて自分好みの社会が自動的に実現する。そういうことは、起こりにくいことですから。

でも、政治に対して棄権はするものの、その結果に甘んじることもなく、やれやれとだけ言ってみせる。積極的にはなにもせず、誰かが得しているらしいと知るや叩くといった、フリーライダー的な議論では、なかなかいい方向には進まない。

自分自身をなんとなくマジョリティの側にいると思い、また自分自身がそこそこ満たされているのだから、今更あえて政治になぞ期待などしなくてもいい、と言う人もいるでしょう。しかし、僕らが手にした権利は過去の運動によってもたらされたものであり、またその権利はまだまだ不安定なものです。

未だ残る諸問題から、関係ないと目をそむけ切り捨てるなら、いずれ自分もまた切り捨てられるかもしれない。社会は完成などしていないのですから、空きっぱなしの「狭間」には、いつも誰かが落ち続ける。次に落ちるのが自分である、というのが嫌であれば、社会的にその「狭間」を埋めるようにしなくてはなりません。

とはいえ、「政治参加」の方法が貧しければ、こうした言葉も空念仏として受け取られるのではないかと思います。投票行動と政治的結果が、明確につながっていないのも事実。あまりに、政治と市民との距離感が広がりつつあるなら、やれやれと言いたくなるというのが人というもの。コストを欠けるだけ、期待するだけムダというシニシズムが広がるのもわかります。であれば、そのギャップを埋めるための政治参加の回路も、もっと築いていかないといけないでしょう。

■「族議員」から「系議員」へ。特定のイシューに対するアプローチを

ところで今は、かつてに比べると、特定の政党を支持し続ける人の割合が減ってきていますね。そして多くの人は、いまや「消去法」「減点法」でしか、投票の選択肢をもちえなくなっていると思います。

実際、1つの党が、様々な政治的イシューをパッケージ化して訴えることの訴求力も弱まっている。「次の選挙」に向けた動きを見ていると、同じ顔ぶれの「ブレーン」達が、相変わらず政策を売り歩いているわけですから、オリジナリティなども特になく、組み合わせのパターンでしか無いとも言えます。

かつては「族議員」と呼ばれる、省庁と特定の業界に紐付いたエキスパートな議員を育成・支持することで、安定成長期の有限なパイを引っ張り合うという政治がリアリティを持ちました。所属する圧力団体経由で、自分たちの利益を誘導させるという参加が重要でした。

一方、停滞期の現在では、パイのぶん捕りあいという政治がかつてよりも機能し難くなり、「痛みの押し付け合い」が前面化するという政治フェイズになっています。ここ数年で目立った政治の動きというのは、その「痛みの押し付け合い」を上手にやってみせる人物ばかりという印象を持っています。「俺はここまで削れる、ここまで痛がらせられる」といって支持を得る。このようなフェイズは、しばらく続くのでしょう。

とはいえ、「あったものを削る」以前に、そもそもまだ、基本的な再分配すらされていないという領域が多々あります。そのか細き声をどこまで大きくできるかが、これから重要なテーマになっていくでしょう。僕はこの点にこそ、今後の日本社会の真価が問われると考えていますが。

そうした社会構造のなかにおいて、圧力団体経由ではなく、かといって投票行動だけでもない、別の政治参加の仕方が重要になってきます。「所属」せずともできる政治参加、日常の中でも可能な政治参加がもっと増える必要があると思います。

圧力団体を作って族議員に訴えかける。そういう仕方にとって変わるものとして、特定のイシューに興味のある市民をリンク化し、そのイシューに関心の高い議員を動かしていく。ネット上でいくつか生まれている政治運動をみると、そのような方法論が模索されているように見えます。

マスメディア経由ではなく、自分たちでアジェンダを作っていくというのも、重要なこと。議員だけでなく、メディアへもアプローチをしていけばいいわけで、「受け身の政治」「採点側の政治」以外のやり方の、ロールモデルの提示合戦が盛り上がっていければ。

NPO議連のケースのように、NPO「系」議員にアプローチするというのも、そのひとつでしょう。議員と政治家の、もっと広くゆるいつながりを可視化させながら、特定の政治イシューへのフィードバックを拡大していく。ネット選挙は、そうした動きをより加速する可能性はあるかと思います。

■市民のプライオリティを反映させ、議員と市民とが新しいネットワークをつくる

族議員から系議員へ。これは、「(得)票にはならぬが、評(判)にはなる」というような仕方で、政治家を動かす回路を作っていこう、ということだと思います。

議員に対して特定のイシューで応援し、それを可視化させる。政党ではなく、特性の問題ごとにネットワークを形成して、超党派的に議員へアプローチしていく。古典的な運動のスタイルの一つでもありますが、そうした動きはもっと活発化してもいいのではないでしょうか。

特定のイシューを応援する議員をリストアップしていくという古典的な方法も、ネットであればスムーズにできます。応援が可視化されることによって、ポジティヴキャンペーンが展開され、マイナーなテーマにも光があたる。特定の政治的イシューを可視化させていく小さなアクションに関心を持つ。そして、政治の中での優先順位を変化させていく。

政治は限りあるリソースの中に優先順位をつけていく作業ですが、その優先順位が、政党同士の政局上の争い、派閥同士などの争い、族議員のパワーバランス、省庁間の垣根やバランス、選挙を睨んだ上での政治的取引などで書き換えられていく実態を問題視するためにも、自分たちにとってのプライオリティはこれだと表明する動きを目立たせられればなと思います。

■ネット選挙運動は不可避だからこそ、議員と市民で一緒に考えていくことが重要

ただ、ネット選挙が解禁されたからと言って、若者が必ずしも投票するとは限りませんし、政治に関心をもつかはわかりません。あまり期待は持ちすぎないほうがいいでしょう。これで政治への熱量が高まるかはわかりません。

ただ、今ある熱量を、もう少し可視化してもいいのではないかなとは思います。また、ネット選挙の実行はおそらく不可避でしょうから、それなら早めにやっておいたほうがいいと思います。

もちろん、ネガティブな側面はいくつもあります。実際、例えば「排外系議員」を応援する、というような場面ではヘイトスピーチも可視化されるし、ネガティブキャンペーンや流言も生じるでしょう。なにせそうしたものは、選挙のたびにいつも起こってきたことなのですから。楽観視は一切できません。新しい問題にも向き合わなくてはなりませんし、その都度、そうした動きを批判しなくてはならない。

それでも、そうした懸念を事前に準備することは難しいと考えます。結局は、やりながら考えていかないといけないとおもいます。ネットメディアの性質というより、ネットという道具が何に利用されるかという政治もまた発生するので、「そのアクションにはNO」という声の応酬もより必要になるでしょう。

議員も、いずれネット選挙解禁がくることはわかっているのでしょう。一方で今は、ネット選挙ということ自体があまり論点にすらなっていない。ネガキャンを心配する政治家もいるでしょう。一方で、ネガキャンされたとき、それに応答する権利も持てるわけですから、デメリットばかりではありません。

もともと、これまでの公選法も、例えば文書図画の頒布などに関して、議員にとっては平等性はともかく、市民にとっての平等性を保証するものでは必ずしもなかったと思います。集会に行く市民はごく一部だし、ビラを手に取るのもごく一部。民からのアクセサビリティの平等性についてはまだまだ議論されていない。

特定の場所に行かないと情報が取得できないのですから、「知る権利」「聞く権利」はまだまだ満たされてもいい。そうした、公平性や平等性に関して、緩和をしつつも、問題があればしっかりと議論していけばいいのではないでしょうか。選挙期間中にネットを通じて政治家に質問をし、答えを引き出すというのは、情報を引き出す市民にとって重要な回路だと思います。

最も政治への関心が高まり、熱量が高まる選挙の時期に、政治をめぐる回路のひとつを閉じたままなのはもったいない。僕は、ネット選挙解禁の早期実現、しかも「なし崩し的」ではない、明確な宣言の元の解禁を願っています。

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VOICE / ARCHIVE

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No.19

Suzukiさんのサムネイル画像

2012.05.28
古賀茂明氏
大阪府・市特別顧問/元内閣官房内閣審議官

>> ネット選挙は100%大賛成。日本の大きな変革を始めなければ大事な間に合わなくなる。大事な決定をするときに、多くの人が参加して決めてもらいたい...

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No.18

嘉田さんのサムネイル画像

2012.05.28
嘉田由紀子氏
滋賀県知事/未来政治塾塾長

>> 実は、政治というのは未来をつくる。今若い人が仕事が無い、年金がどうなるんだろう。子供も育てにくい。こういう仕組みは過去10年前...

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No.17

Suzukiさんのサムネイル画像

2012.05.27
Emmy Suzuki Harris氏
change.org 日本キャンペーン担当

>> change.orgとは署名活動をサポートするプラットフォームで、毎月15万ほどのキャンペーンがスタートしています。全世界で1600万人ほどの...

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No.15

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2012.05.19
岩瀬大輔
ライフネット生命保険副社長

>> 若いひとが、より政治に関われば、この社会は変わると思う。そのために、インターネット選挙をより使いやすくすることは非常に大切 ...

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No.10

荻上さんのサムネイル画像

2012.05.19
荻上チキ
評論家/「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長

>> まず前提として、選挙や政治に参加「しない」ということは、それは要するに「損をしてもしょうがなくなる」ということです。なにかしらの政治参加を一切...

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No.13

勝谷さんのサムネイル画像

2012.05.19
勝谷誠彦
コラムニスト

>> ネット選挙運動はもちろん解禁されるべきでしょう。日本の選挙は色々縛りが多すぎます。こんな国は世界中にありません。...

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No.12

飯田さんのサムネイル画像

2012.05.19
飯田哲也
環境エネルギー政策研究所所長

>> ネット選挙をもっと活性化するように解禁したほうが良い。去年の3月11日の地震、津波、原発事故以降、日本が大きく変わったのは、日本版ジャスミン革命...

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No.11

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2012.05.18
岸博幸
慶応義塾大学大学院教授

>> 利点として、ネットが現在のように普及し一般レベルにまで使われている状態において、本来投票行為というものは、できるだけ多くの情報を知り、...

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No.10

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2012.05.17
上野千鶴子
社会学者/WAN理事長

>> 私のような還暦すぎた人間でも、今やiPadは手放せない。インターネットがこれだけ普及した時代に、これを政治の世界に持ち込まないということは本当に遅れているというか、既得権益を守りたい...

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No.09

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2012.05.16
関根健次
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役

>> 禁止されている選挙運動期間中(2週間)に、政治に興味を持った場合、誰かから話を聞かない限り考え方が変わらない。インターネットで情報が見られることは判断をする上で材料が広がるから必要だ...

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No.01

宮台さんのサムネイル画像

2012.05.14
宮台真司
社会学者

>> ウェブサイトについて言えば、これは文書の“頒布”ではない。なぜかというと、渡すのではなくて、わざわざ知りたい人が情報を取りにくるわけですよね。簡単にいえば「PUSH」ではなくて「PULL」型である...

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No.01

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2012.05.12
津田大介
ジャーナリスト/メデイアアクティビスト

>> インターネット選挙解禁をするかしないか、民主党が政権をとった2009年以降ずっと大きな問題であったが、このようなことを禁止している先進国はないので、政治の情報がインターネット...

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No.01

家入さんのサムネイル画像

2012.05.10
家入一真
paperboy&co.創業者 / partycompany Inc.代表

>> 政治って、行っても無駄だと感じる前に、オヤジたちのものだというのが先にたってしまう。別にかっこよく、などとは言わないけど、いまってあまりに時代とかけ離れているんじゃないかと思う。...

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No.01

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2012.04.25
駒崎弘樹
NPO法人フローレンス代表理事

>> これまでの時代は、税収が右肩上がりで行政にある程度任せることができたが、いまの経済状況において、行政がすべてをおこなうことはほぼ不可能になってきました。多様なあり方すべてに...

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No.01

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2012.04.27
萱野稔人
津田塾大学准教授

>> インターネットの登場によって、政治だけでなく民間でも多くの情報開示が進みました。例えば、ネットもなくテレビもそれほど発達していなかった時代に、アメリカの大統領の演説を聞け...

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No.01

熊谷俊人さんのサムネイル画像

2012.04.26
熊谷俊人
千葉市長

>> 政治家はわたしたち国民から選ばれます。しかし、いまはその政治家を選ぶプロセスに問題があります。その根っこである選挙制度をかえなければダメです。“政治”がおかしいのは“政治家”が...

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No.01

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2012.04.28
田原総一朗
ジャーナリスト

>> ネット選挙運動の解禁については大賛成。いま、若い人の80%以上は携帯をもっている。そうしたネット普及の状況の中、議員に おいても、選挙において使えないとまったくもって意味が...

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COMING SOON...

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