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NO.08 05.14
宮台真司 氏 ( 社会学者 )

インターネット選挙運動を肯定していく流れに

僕は、ちょうど2000年なんですが、何人かと一緒に総務省にロビィをかけて「公職選挙法における文書の頒布に実はインターネット選挙運動があたらない」ということをはっきりさせろということを言っていたんですね。

というのは、ネット選挙運動にはウェブサイトをベースにしたメッセージのやりとりと、メールを通じたメッセージのやりとりと、両方あるのですが、メールはまぁちょっと横に置こうと。で、ウェブサイトについて言えば、これは文書の“頒布”ではない。なぜかというと、渡すのではなくて、わざわざ知りたい人が情報を取りにくるわけですよね。簡単にいえば「PUSH」ではなくて「PULL」型であるので、このようなものについて、頒布と規定するのはおかしいという風に僕らのほうから申しました。

僕がそのように申しますと、総務省のお役人さんたち(課長と課長補佐)がいらっしゃいまして、そうですね40~50cmくらい書類を積み上げてですね、行政上の前例、まぁ彼らは実例というように言っていますけれども、そうした前例がどのようなものであるのかということを説明しようと言うんですね。「こんだけの資料があって、実はそのような理屈は通らないんです」って僕に言うんですね。で、あの「いちいちその書類の説明はいいから、典型的な最も重要なケースで説明してくれ」と申しましたらですね、「これは非常に有名なケースです」と言って、「ある図書館がマイクロフューワーにあるマイクロフィルムをかけたまま閲覧自由にしといたんですね。で、これは(頒布ではなくて、見ようと思う人が見るわけですけれども)実は頒布にあたるんだ」って言うんですね。「特許法に関する最高裁判例っていうのがあるんだ」っていう説明をしたんですね。で、僕はまぁ非常にお笑いだとは思いましたけども、当時、仲間の議員さんたちなんかに僕が申し上げましたのは「総務省の役人が言っている理屈はその程度のものであるから、実際にはウェブサイトで選挙運動を行ったところで、実際は法の運用はできないだろう」。つまり、これは実際に役人たちとコミュニケーションして出てきたんですけども、当時の自民党の政治家が許さないものについて、役人がなんとか理屈を見つけてきたのが特許法の最高裁判例、ということになるっていう風に僕はまあ理解しているんですね。

さて、じゃあ議員さんたちがなぜウェブ選挙運動に反対しているのかと申しますと、これは従来の後援会依存型の、まあ「ドブ板型の」と申し上げてもかまわないけれども、選挙運動にとってノイジーだってことですよね。例えば、インターネットで政策論争に関わらないと、選挙運動に真剣じゃないという風に見られてしまったりするようになると。従来の選挙運動をした人間たちにとっては新しいことをしなければいけない。で、新しいことができるかできないかもわからない。そういうのは嫌である、そういうモチーフが決定的に重要でした。

或いはこういう風に言ってもいいでしょう。東京都でも、選挙のときに一部、そうですね多摩地区なんかですと、投票率が90%超えるようなところがあるんですね。普通、地方選挙ですと3割4割が当たり前ですから、これは異常ですよね。

じゃあなんで投票率が9割を超えるような状況にあるのかと当事者たちに聞いてみると、監視があるからなんですね。それは自治会だったり町内会だったりの監視があって行かざるを得ないと。しかもそういう監視があると、自分が独自の意見を持っていたとしても、なんとなく周囲の期待に応じなきゃいけないような気分になって、拘束、まあ縛られてしまう。

実は、僕が当時思ったのは、まさにそういう空気に縛られる作法を前提とした選挙運動が、やはりできなくなると。つまり、周りで合わせていながら、インターネット上では面従腹背的に自分自身の思うことをコミュニケーションする。その結果、自分自身が周りとは違う意識を持っているなと思っていたのが、実は同じ意識を持っている人間がたくさんいるんだっていう風にわかって、どんどん確からしくなって、周りはどうあれ自分の投票したいところに自己決定的に投票するようになる。ということを、議員さんの一部は明らかに恐れていたという風に、当時僕は思いました。

このロビー活動(2000年から数年に比べて)もう10年以上経っているわけですよね。インターネットの普及率も馬鹿にならないし、政治家さんたちにとってはむしろツイッターとかフェイスブックとか、インターネットを有効に利用できないとまずい。この利用を妨害されるほうがむしろまずいんだ、っていうようなですね、意識になってきていると思いますね。

その転機になったのは、2005年の小泉さんの郵政総選挙のときでした。このときは、まあご存知の方もいらっしゃるかもしれないけれども、いくつかのインターネットカフェで、動員をかけられた人たちが政治的なメッセージを大量に発信する、という仕事をやっているっていうことがありました。小泉総選挙は、実は基礎票はあんまり変わらなかったんですけれども、従来投票に行かなかった、そういう人たちが投票に行ったので、小選挙区制のもとで増幅されてですね、議席の大きな変更に結びついたってことが今日では知られているわけです。

そういう、普段は選挙に行かないところに働きかけるツールとしてインターネットが機能した結果、もちろん他の要素、情景もあるのですが、小泉自民党が大勝ちをしたという経験があるんですね。なので実は、自民党は今の党勢の劣勢を構造的に挽回するのは、もう難しいんです。

なぜかというと、自民党は元々農村政党で、農村の過剰人口を都市部に移転して、工業化産業化を遂げたそのパイを、農村に再配分するという形で票を取ってきたんです。だから農村政党なんだけど、農業政党じゃなくて、農村からどんどんどんどん人口を引き抜いていくという意味で、農村を風洞化させる非農業政党という農村政党だったんですね。でも農業人口は2%という風になりました。戦前は60%ですからね。もう自民党に支持基盤はないんです。構造的には、自民党はポピュリズムに頼る以外に党勢の挽回の可能性はない。そのことを実は小泉総選挙を通じて、自民党の方々はよく認識をされたということなんです。

まあ良くも悪しくも、自民党からこういう案が出てくるというのは、僕から言わせるとまったく自然なことであるという風に思いますね。

しかし同時に、小泉総選挙のある種の副作用についても、もう皆さん認識されていると思うのですけれども、インターネットがこういうポピュリズムに利用されやすいメディアであるということ、もちろんある種の熟議、目から鱗のですね、コミュニケーションを通じて成長するようなツールとしても利用できるんですけれども、そうではない、まさにインターネットと言いつつドブ板選挙と同じように金を使って人員をかき集めて大量のツイートやブログでの情報発信をさせるとかっていう風に使われてしまうと、これは本末転倒であるし、そのような使い方を見抜くリテラシーがユーザー側に要求される。

で、そうしたある種のコストや負担を払うということを厭わずに、インターネット選挙運動を肯定していくという風なそういう流れに、ぜひぜひ棹さしていただきたいと思います。

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No.19

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2012.05.28
古賀茂明氏
大阪府・市特別顧問/元内閣官房内閣審議官

>> ネット選挙は100%大賛成。日本の大きな変革を始めなければ大事な間に合わなくなる。大事な決定をするときに、多くの人が参加して決めてもらいたい...

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No.18

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2012.05.28
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滋賀県知事/未来政治塾塾長

>> 実は、政治というのは未来をつくる。今若い人が仕事が無い、年金がどうなるんだろう。子供も育てにくい。こういう仕組みは過去10年前...

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No.17

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2012.05.27
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>> change.orgとは署名活動をサポートするプラットフォームで、毎月15万ほどのキャンペーンがスタートしています。全世界で1600万人ほどの...

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No.15

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2012.05.19
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ライフネット生命保険副社長

>> 若いひとが、より政治に関われば、この社会は変わると思う。そのために、インターネット選挙をより使いやすくすることは非常に大切 ...

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No.10

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2012.05.19
荻上チキ
評論家/「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長

>> まず前提として、選挙や政治に参加「しない」ということは、それは要するに「損をしてもしょうがなくなる」ということです。なにかしらの政治参加を一切...

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No.13

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2012.05.19
勝谷誠彦
コラムニスト

>> ネット選挙運動はもちろん解禁されるべきでしょう。日本の選挙は色々縛りが多すぎます。こんな国は世界中にありません。...

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No.12

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2012.05.19
飯田哲也
環境エネルギー政策研究所所長

>> ネット選挙をもっと活性化するように解禁したほうが良い。去年の3月11日の地震、津波、原発事故以降、日本が大きく変わったのは、日本版ジャスミン革命...

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No.11

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2012.05.18
岸博幸
慶応義塾大学大学院教授

>> 利点として、ネットが現在のように普及し一般レベルにまで使われている状態において、本来投票行為というものは、できるだけ多くの情報を知り、...

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No.10

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2012.05.17
上野千鶴子
社会学者/WAN理事長

>> 私のような還暦すぎた人間でも、今やiPadは手放せない。インターネットがこれだけ普及した時代に、これを政治の世界に持ち込まないということは本当に遅れているというか、既得権益を守りたい...

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No.09

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2012.05.16
関根健次
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役

>> 禁止されている選挙運動期間中(2週間)に、政治に興味を持った場合、誰かから話を聞かない限り考え方が変わらない。インターネットで情報が見られることは判断をする上で材料が広がるから必要だ...

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No.01

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2012.05.14
宮台真司
社会学者

>> ウェブサイトについて言えば、これは文書の“頒布”ではない。なぜかというと、渡すのではなくて、わざわざ知りたい人が情報を取りにくるわけですよね。簡単にいえば「PUSH」ではなくて「PULL」型である...

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No.01

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2012.05.12
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>> インターネット選挙解禁をするかしないか、民主党が政権をとった2009年以降ずっと大きな問題であったが、このようなことを禁止している先進国はないので、政治の情報がインターネット...

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No.01

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2012.05.10
家入一真
paperboy&co.創業者 / partycompany Inc.代表

>> 政治って、行っても無駄だと感じる前に、オヤジたちのものだというのが先にたってしまう。別にかっこよく、などとは言わないけど、いまってあまりに時代とかけ離れているんじゃないかと思う。...

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No.01

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2012.04.25
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NPO法人フローレンス代表理事

>> これまでの時代は、税収が右肩上がりで行政にある程度任せることができたが、いまの経済状況において、行政がすべてをおこなうことはほぼ不可能になってきました。多様なあり方すべてに...

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2012.04.27
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>> インターネットの登場によって、政治だけでなく民間でも多くの情報開示が進みました。例えば、ネットもなくテレビもそれほど発達していなかった時代に、アメリカの大統領の演説を聞け...

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2012.04.26
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>> 政治家はわたしたち国民から選ばれます。しかし、いまはその政治家を選ぶプロセスに問題があります。その根っこである選挙制度をかえなければダメです。“政治”がおかしいのは“政治家”が...

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No.01

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2012.04.28
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ジャーナリスト

>> ネット選挙運動の解禁については大賛成。いま、若い人の80%以上は携帯をもっている。そうしたネット普及の状況の中、議員に おいても、選挙において使えないとまったくもって意味が...

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